経営者の「甘い判断」が不祥事の火種に|元刑事が教える、組織崩壊を招く「小さな例外」の正体

2026.01.25
勤怠管理や労務管理業務を象徴するイメージ

本記事では、不祥事が発生する背景にある「経営判断」と「組織構造」に焦点を当て、なぜ危機が生まれるのかを整理します。
個別論点(勤怠管理・管理職判断など)については、関連記事で詳しく解説しています。

「うちは大丈夫」という言葉の危うさ

  • 「うちには規則も作っているから大丈夫」
  • 「うちは先生に任せてるから大丈夫」
  • 「うちにはそんな人間はいないから大丈夫」
  • 「そんなこと起こるわけない」

私はこのような言葉を今まで何回も聞いてきました。

もちろん、このように思われる経営者や幹部には悪意はありません。

私自身も、立場が変われば同じように考えてしまうことがあります。

従業員や自社のことを信じることは悪いことでもなんでもありません。

むしろ素晴らしいことです。

しかし、実際にはトラブルが起きる会社ほどこのように思われているのも事実です。

なぜ人は「大丈夫だ」と思い込むのか

問題が発生していない=問題がない、ではない

問題が発生していないというのは問題が表面化していないだけという可能性もあります。

または、声が上がっていないだけという可能性もあります。

そんなこと言ったらきりがないと思われるかもしれません。

逆にお聞きしますが、問題が発生していないのは問題がないからだ、と言い切ることが出来るのでしょうか?

現場と経営の距離が判断を鈍らせる

現場の声、意見というのはなかなか上がってくるものではありません。

報告フローがしっかりしている、定期的なアンケートを行うなど、従業員の声が届く仕組みができている。

このような会社ですと声は届きやすいと思います。

しかし、実際には整備できていないのが現状ではないでしょうか?

都合の悪い情報もなかなか上がってこないことが多いのではないでしょうか?

以前、このようなことがありました。

とある問題が発生したので組織図に合わせて幹部からヒアリングを行った際に、A係長がB課長に報告をしていなかったということが判明しました。

その会社は報告フローはありましたが、そのフローを止めてしまう人がいるのです。

A係長にヒアリングを行った結果、B課長との人間関係が悪く、出来るなら話をしたくなかったと思っていたことが判明しました。

つまり、問題そのものではなく、「問題を止めてしまう人・構造」が存在していたのです。

良い話なら人間関係が難しくても報告すると思うのですが、悪い話だといつも以上に話そうとしなくなります。

つまり、問題が埋もれてしまうのです。

人間関係が悪くなくても悪い話はなかなか言えないかもしれません。

悪い情報ほど早く報告するように、とは多くの会社で言われていることでしょうが、実際にはなかなか実践できていないのが現状かもしれません。

私が見てきた「想定外だった」という言葉

実際は前兆があったケース

例えば、賃金についてお話しします。

ある会社で面接時に、手当てについては「半年後から支給する」と、従業員に口頭で伝えていました。

その手当は月に4万円でした。

入社から6ヶ月が経過した後も、実際には手当てを支払われませんでした。

その後、従業員から現場の幹部申告があり、対応に追われたということがありました。

そもそも労働条件通知書にも手当の記載がなく、就業規則にも手当の記載がありませんでした。

従業員は労基署ではなく会社幹部に申告したため手当の遡及支払い、契約書の再作成、就業規則の見直しを行いました。

この時も社長の知らないところで、採用時に話した手当てなどについて話が進んでいました。

まさに想定外だったと思います。

判断を誤る会社に共通する特徴

判断を属人化している

今回の事例では人事が勝手に話を進めていたということですが、判断を人事に任せすぎていたことが問題だと思いました。

判断を属人化することは多くの問題を含むことになります。

管理職が板挟みになり、判断を先送りにしてしまう構造については、
▶ 「ハラスメントが怖くて指導できない」を卒業する|元刑事が教える、正しい指導の境界線と判断基準」で詳しく解説しています。

説明できる記録が残っていない

なぜ、その判断をしたのかが説明できません。

給与額が当初と異なるわけですから、後になると必ず矛盾が出てきます。

その場凌ぎの対応はNGです。

判断ミスが不祥事・ハラスメントにつながる瞬間

従業員からの会社への信頼は小さな判断の積み重ねだと思っています。

先ほどの事例の場合でもそうですが、他の社員から「私には手当はつかないのですか」などといった

問い合わせ、批判がきました。

その後は給与、条件面に対する従業員からの不信感が増えてきました。

経営者が誤りやすい判断局面については、
「経営者の「甘い判断」が不祥事の火種に|元刑事が教える、組織崩壊を招く「小さな例外」の正体」を参考してください。

判断を誤らない会社がやっていること

「大丈夫か?」を仕組みで確認している

判断を誤らない会社は感情や感覚ではなくチェックをしています。

チェック=客観的な評価です。

そこに私的感情は入りません。

どのようにチェックをしていくのか。

ここも検討が必要となります。

また、定期的に社内でチェックを行うことも必要です。

内部監査的なものでも結構です。

社内で何をどうチェックするのか、従業員からの意見をどう吸い上げていくのか、などを検討する必要があります。

大丈夫と言える会社になるために

問題が起きない会社が優秀な会社ではありません。

むしろ問題を吸い上げ、問題が起きても対応できる力のある会社が、信頼のある会社と言えるのではないでしょうか?

後は、組織対応と説明責任を果たすことです。

これこそが最大の防御ではないでしょうか?

うちは大丈夫」と思い込んでいた判断が、後になって大きな問題につながるケースは少なくありません。

当事務所では、ハラスメントや内部トラブルが発生した際の事実認定・初動対応の支援だけでなく、日常の労務管理や判断体制を含めた「問題が大きくならない組織づくり」のサポートを行っています。

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刑事15年・人事労務10年の経験を融合。「刑事の眼」と「実務目線」を併せ持つ社労士として、ハラスメント等の組織トラブル解決を専門としています。

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