ハラスメント調査が必要になる前にやるべきこと|管理監督者教育の重要性

2026.01.25
コンプライアンス体制の整備や予防策を象徴するイメージ

本記事では、ハラスメントや不祥事を「発生後に対処する」のではなく、

「発生させないための教育」に焦点を当てます。
発生時の対応については、別記事で詳しく解説しています。

▶ 「ハラスメント発覚後の初動対応|判断と事実認定の原則」

では、発生後の実務対応を整理しています。

できれば解決よりも予防がいい

前回の記事ではハラスメントや不祥事が起こった際にその調査が困難を極めるという内容をお伝えしました。
今回は困難な状況になる前の、つまり、予防について書いていくことにします。

発生時の対応が重要なのは当然だが

もちろん発生時の対応は重要です。
これは前回の記事でも触れましたが、発生時に的確な対応をしないと従業員から訴えられる可能性もありますし、
周りの従業員のモチベーションの低下にもつながるからです。
しかし、できるならば未然に防ぎたい…今回はハラスメント予防策について触れていきたいと思います。

今は昔〜認識のズレがハラスメントを生む

特にハラスメントの多くは、無知であったり「これくらいは許される」という誤った認識から生まれます。

厳しさは否定されるものではない

私自身、仕事において「厳しさも必要だ」と考えてきましたが、
その厳しさが許される範囲は、時代とともに明確に変化しています。

過去の成功体験がズレを生むこともある

これは社会人になってから30年以上変わっていません。
私も会社員や警察官となり現場に配属された当初は上司の指導は厳しかったです。
理不尽なこともありましたが、後から考えるとためになったことも沢山ありました。
その指導をいただいたおかげで今の私があると確信しています。
しかし、理不尽な指導、叱責は今のご時世はNGです。
このような知識を社内で共有しておく必要があります。

認識の共有は個人任せにできない

では、どのように社内で共有していくのか。
それは教育しかありません。

なぜ、教育が大切なのか

社長が現場を任されているケースは多くはないと思います。

実際には現場に近い管理職の方が現場を任されていると思います。

現場を動かしているのは管理職

しかし、管理職の方も現場の管理や作業が多く、

業績への即効性がない危機管理についてはどうしても対応が後回しになります。

管理職が板挟みになり判断を誤る構造については、
▶ 「管理職がハラスメント対応で板挟みになる理由」
を参照してください。

「分かっているつもり」のまま判断を迫られる

では、どのようにしてこの方々にハラスメントなどについての意識を持ってもらうようにするのか。

それには繰り返しの教育しかありません。

「知識」ではなく「意識」を変える必要がある

ハラスメントや不祥事防止の意識を持ってもらうには、

「知識の定着」ではなく、「意識の変化」が必要になります。

一度で考え方は変わらない

1日で考え方が変わりますか?

なかなか難しいことだと思っています。

ではどうするか。

ここは繰り返すしかないのです。

会社の覚悟が問われる

会社と従業員の根比べです。

会社も粘り強い姿勢が必要です。

意識は腑に落ちた時に変わる

私の経験を少しお話しします。

勤怠打刻が浸透するまでの話

以前、勤怠の打刻を紙でやっていた70名程度の会社に勤めていました。

そこで私は打刻システムを導入することにしました。

朝礼や会議で伝えても初月は1月まるまる打刻した人は1名でした。

打刻していない人には1人1人電話して時間を確認しました。

これを続けて6ヶ月。

やっと打刻が浸透しました。

腑に落ちた瞬間に行動は変わる

その時は大変でしたが、浸透すれば打刻データを給与計算にも使えるので、かなり楽になりました。

どうすれば従業員の意識を変えられるか?

これは各従業員が腑に落ちることが重要です。

腑に落ちる。

つまり、納得、理解することになりますが、

自分のこととしてリアルに感じてもらう必要があります。

勤怠管理の運用が組織リスクに直結する理由については、
▶ 「不祥事は突然起きない。勤怠・残業管理の“小さな歪み”が会社を追い込む理由」
で整理しています。

最悪のケースを「現実」として知っておく

例えばハラスメント関係の研修についてですが

どのような行為がハラスメントになるか具体的に知っていますか?

どの法律にどう抵触するのか

ハラスメントは暴行罪、わいせつ罪、横領罪などの刑法をはじめとしていろんな法令に抵触しますが、

どのような行為がどの罪に抵触する

また、法令に抵触した場合、どのようなペナルティーを受けるか

を具体的な知っていますか?

「ここまでになるとは思わなかった」を防ぐ

例えばですが、暴行罪と傷害罪は罪の重さがかなり違います。

傷害罪とはわかりやすく言いますと、相手に怪我を負わせた場合のことですが、

事案の内容や状況によっては、言動のみでも刑事責任が問題となる可能性があります。

また、実際に捜査の対象となった場合、一定期間の身柄拘束が生じるケースもあります。

それ以外にも事件の広報、就業規則上の処分などのペナルティーが発生することになります。

このように最悪のケースとなった場合に起こることを、何となくのイメージではなく、

現実のこととして知っておいていただきたいのです。

公開する前に、意識づくりを

このような話を聞いて、それでもハラスメントや不祥事は起こってから何とかすればいいと思われますか?

この記事を読んでいただいた方には、ハラスメントや不祥事は「もしかしたら思ってたよりもやばいことになるかも。」と思っていただきたいのです。

なぜならば、事件化された当事者の多くは、

こんなはずじゃなかった

こんなことになるなんて思いもしなかった

と後悔しているからです。

その姿を見てきた私からのメッセージでした。

管理職の判断力を鍛えたい企業様へ

ハラスメントや不祥事は、
知識不足ではなく「判断訓練の不足」から起こります。

現場で迷わないためには、実践を想定した教育設計が必要です。

当事務所では、事例ベースで行う
「実戦型危機管理・不祥事防止研修」 を提供しています。

・管理監督者向け実務研修
・ケーススタディ形式
・組織課題に合わせた設計

オンライン・対面いずれも対応可能です。

▶ 実戦型危機管理・不祥事防止研修の詳細はこちら

この記事は役に立ちましたか?
もし参考になりましたら、下記のボタンで教えてください。

刑事15年・人事労務10年の経験を融合。「刑事の眼」と「実務目線」を併せ持つ社労士として、ハラスメント等の組織トラブル解決を専門としています。

関連記事

目次